2016/03/02 (水)
まるで夢の中にいるような気ばかりして、まだその夢がさめきらぬような、ぼんやりした思いですから、さぞかし変なこともたくさん書いたことでしょう」と、たしかに取りとめもなく乱れがちにお書きになっていらっしゃるのが、かえって、はたから覗いて見たくなるほどなので、やはり紫の上はこの上なく深く御寵愛されていらっしゃるお方なのだと、供人たちの目にはうつるのでした。その人たちもめいめい京の留守宅へ心細そうな言伝(ことづて) を頼むようでした。