お父様今いよいよお別れの時が来ました。 少しなりとお役に立って死ねることを豊志は最大の幸福と思い喜んで死んで行きます。 今お別れの歌が不味いけど出来ましたのでお別れのしるしに残して置きます。 |
海山に 劣らぬ親の 厚恩に 今ぞ報いむ 國
のため散れ お父様 |
|
夢にだに 忘れぬ母の 涙をば いだきて三途の 河を渡らむ お母様 |
|
おやさしき 我が祖母様よ お先にて 三途の川の 浅瀬知らせむ 祖母様 |
|
祖母様の 常の教おしえ
の 念佛ねんぶつ を あの世の旅の 杖つえ
とし行かむ 小院瀬祖母様 |
|
今に弟の二人供豊志の後に続き共に國のため死んでくれる事を最大の願として行きます 豊志 二十一才 |
父上様 しきしまの 大和心を 一ひらに こめて散りゆく 若桜花 |
|