〜 〜 『 寅 の 読 書 室  Part V-V』 〜 〜
── いつまでも、いつまでも お元気で ──
特攻隊員たちが遺した最後の言葉

2014/09/08 (月) 

小林 敏男 23歳 大尉

     死出の旅

故郷の 梅をながめて さまよひぬ
    これも遂に 最後となりぬ
死出の旅と 知りても母は 笑顔にて
    送りてくれぬ 我くに去る日
広き広き ホームに立ちて 見送るは
    母と妹と 二人のみ
捧げたる 生命にあれど 尚しかも
    惜しみて遂に 究め得ざりき
我が生命 捧ぐるはやす し しか れども
    国救ひ得ざれば 嗚呼ああ 如何いか にせん
中村 實 20歳 大尉
飛行機を作ってくれ
君達だけは信頼する
大楠公だいなんこう の精神に生きんとす
お母さん お母さん
  今俺は く 母を呼べば母は山を越えてでも
  雲の彼方からでも せ来る

母はいい 母ほど有難いものはない 母! 母!
内田 新一 18歳 少尉

   祖父 祖母  様

幼キ頃ニシテ一番良ク可愛ガッテ戴イタノハ 「オジイサン」 ト 「オバアサン」 デシタネ。学校カラ帰ルト何時モオバアサンヲ尋ネ廻リ、或ハ晩ノ寝就キニ歌ッテ戴イタ子守歌、聞カサテ戴イタ昔話、今モ良クアノ面影ガ心ノ底ニ残ッテ居リマス。新一トシテハ只我儘バカリ言ッテ 「オバアサン」 達ヲ困ラセマシタ。御許シ下サイ。
今度新一ハ○○ヘ鬼退治ニ行ク事ニナリマシタ。今度帰ルトキハキット 「ルーズ」 ノ首ヲ持ッテ帰リマスカラネ。其ノトキマデ元気デ待ッテ居テ下サイ。デハチョット征ッテ来ます。何時マデモ何時マデモ元気デ、永生キシテ下サイ
                   新 一

『いつまでも、いつまでも お元気で』 編:知覧特攻平和会館 ヨリ
Next