マリアとの破局の後、ショパンはジョルジュ・サンドとの愛に溺れていく。パリのサロンに君臨するサンドは、マリアとは全く異なるタイプの女性であった。サンドは女流作家で、過去に結婚歴があり、モーリスとソランジュという子供がいた。このサンドとショパンを引き合わせたのはフランツ・リストで、1836年秋のことである。サンドはこの若者との関係を隠すかのように、マジョルカ島に家を借りて共同の生活を始めることになる。可憐なマリアとは全く正反対の、きわめて押し出しの強い、男性的な性格のこの作家との生活は、ショパンの結核の進行とともに精神的にも負担の大きいものとなっていく。 |