〜 〜 『 寅 の 読 書 室 』 〜 〜
 

2011/03/30 (水) シ ョ パ ン (一)

○悲劇的愛が創作へとかりたてる

パリのサロンで名だたる貴族に囲まれ、物質的には満ち足りた生活を送ったが、生涯愛に不遇だったフデリック・ショパン (1810〜1849)
彼は、父がフランス人、母がポーランド人で、ワルシャワに生まれた。彼の作品は繊細なフランス的な趣味と、ポーランドの民族性の二つの面を特徴とする。
1830年以降はポーランドを離れ、パリで活躍した。作品はほとんどがピアノ作品で、二曲のピアノ協奏曲のほかに、『マズルカ』 や 『スケルツォ』、 『ワルツ』 、 『前奏曲集』 、 『練習曲集』 などが書かれた。
叙情的で美しいその作品は今日まで多くの人々を魅了している。しかし、絶望的で、かなしく、切ないその響きは、幸少ない彼の人生そのものを表わしている。
○ショパンの音楽は失恋の響き
ショパンの切ない音楽の響きは、明るい幸福感ではなく悲しい思い出のように感じられる。
時に切なく、時に絶望的に、時に過去への思いに浸るような音調は、幸少なき彼の人生のようでもある。
祖国を奪われたポーランドの悲劇と、結核という死に至る病と、マリア・ヴォジニスカとの愛の断絶、ジョルジュ・サンドとの未来のない愛、これらの悲しい思い出が彼の作品の根底には流れている。
ショパンはパリの華やかなサロンの寵児となり、貴族に囲まれて物質的には満ち足りた環境にあったものの、愛に恵まれない人物であった。
「クラシック 名曲を生んだ恋物語」 著:西原 稔 発行所:講談社 ヨリ
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