ところで難波三郎恒房
は、悪源太を斬った後に乱心してしまったので、邪気を払うため摂津国
箕面
(大阪府箕面市) の滝にうたれていたが、滝壺を見ているうちに乱心し、水の中に飛び込んでしまった。また恒房が、清盛の使者として福原 (神戸市兵庫区福原町辺)
へ下る途中、摂津国
昆陽野 (兵庫県伊丹市)
まで来ると、一天にわかにかきくもり、激しい雷雨がおこった。難波は悪源太を斬ったとき、 「雷になって、きさまを蹴殺してやる」 といわれたのを思い出したが、悪源太を斬った刀を引き抜き、額にあてて打つ間に、がらがらと鳴って落雷した。難波は、たちまち馬もろとも蹴落とされてしまった。 |