〜 〜 『 寅 の 読 書 室  Part T-U』 〜 〜
あ らす じ

2012/05/09 (水) 悪 源 太 、 雷 と な る 事

ところで難波三郎恒房つねふさ は、悪源太を斬った後に乱心してしまったので、邪気を払うため摂津国せっつのくに 箕面みのう (大阪府箕面市) の滝にうたれていたが、滝壺を見ているうちに乱心し、水の中に飛び込んでしまった。また恒房が、清盛の使者として福原 (神戸市兵庫区福原町辺) へ下る途中、摂津国せっつのくに 昆陽野こやの (兵庫県伊丹市) まで来ると、一天にわかにかきくもり、激しい雷雨がおこった。難波は悪源太を斬ったとき、 「雷になって、きさまを蹴殺してやる」 といわれたのを思い出したが、悪源太を斬った刀を引き抜き、額にあてて打つ間に、がらがらと鳴って落雷した。難波は、たちまち馬もろとも蹴落とされてしまった。

『保元物語・平治物語』 発行所:角川書店  ヨ リ
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