〜 〜 『 寅 の 読 書 室  Part T-U』 〜 〜
あ らす じ

2012/05/09 (水) 頼 朝 、 生 け 捕 ら れ る 事

頼朝は奥波賀に隠れていたが、ついに平家の弥平やへい 兵衛びょうえ 宗清むねきよ/rt> に捕らえられる。頼朝が捕らえられると、妹の夜叉やしゃ 御前ごぜん は、 「私も義朝の子、頼朝さまと一緒に斬ってくれ」 と、泣き伏したので、武士たちもあわれに思った。やがて頼朝は彼を捕らえた宗清に預け置かれた。夜叉御前は、その後は水も飲まず嘆き続けたが、二月一日の夜、ただ一人奥波賀の宿駅を出て、はるかな杭瀬くいぜ がわ に身を投げてしまう。まだ十一歳の幼い身であった。
頼朝の噂を聞いた清盛の継母いけの 禅尼ぜんに は、いまは亡きわが子の 馬助まのすけ 家盛いえもり に似ている、というので情けをかけ、清盛に嘆いて死罪を免じてやった。こうして頼朝は、ついに遠流にとどめられるこtになったのである。

『保元物語・平治物語』 発行所:角川書店  ヨ リ
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