2012/05/07 (月) 信 西 の 首 実 検の 事
やがて都からは、出雲前司(いずものぜんじ) 光保(みつやす) が五十余騎の兵を率いて下り、ついに穴の中の信西を見つけて掘り出し、首を討って帰って行った。そこで信頼は神楽(かぐら) 岡(おか) まで出向いて、信西の首を実検した上で、都大路を渡して獄門に懸けてしまった。都の人びとは賀茂河原いっぱいになって、この行列を見物したが、信西の首は、信頼と義朝の前を渡されるとき、うなずきうなずきして通って行ったので、見物の人々は、 「きっと信西の首は、すぐにも信頼や義朝を亡ぼしてしまうに違いない。恐ろしいことだ」 と、ささやきあうのであった。