〜 〜 『 寅 の 読 書 室 』 〜 〜
 
2007/12/23 (日) 愛 さ ず に は い ら れ な い
愛なんて どうでもいいと
言ってた私 それは嘘
好きな人が そこにいたら
ひとりきりでは いられない

野に咲く花は 何も知らず
空にたわむれて 咲いている
切られたままで 何も言わず
咲く花もあるのに

愛さずには いられなくて
今日もあの人 呼んでみるの
愛さずには いられなくて
泣いてる私 あなたは知らない

思いでだけは 捨てたくないと
言ってた私 それは嘘
写真の中で やさしすぎる
あなたに笑顔 答えない

夏の終わりの 雨はいつか
明日のページを 消して行く
めぐる季節の おとずれを
信じたい 夜明に

愛さずには いられなくて
今日も窓を 開けてみるの
愛さずには いられなくて
誰かの手を 抱いてみるの
『愛する人へ 』 加藤登紀子自選詩集 著・加藤登紀子 発行所・株式会社 サンリオ ヨ リ