〜 〜 『 寅 の 読 書 室 』 〜 〜
 
2007/12/20 (木) む く げ の 花
あふれる水の 行く先を
とめる事も出来ず どこまでも
人は あてなく 流れ 流れて
悲しみの海へゆく
むくげの 白い 花のように
はげしい 夏を 咲きとおして
散って ゆくなら それでもいいと
燃えつきるまで 咲いた
忘れるな 白い花よ 夏の思い出
さよならを くり返し 旅する時に

この胸に おいで 白い花よ
暗闇のなかを 逃げてゆかずに
想いは 必ず 届いて ゆくさ
どんなに 遠くても
激しい 愛の おろかさを
知りながら 人は 何も出来ない
思いのままに 流れ 流れて
いつかは たどりつく
忘れるな 白い花よ 夏の思い出
さよならを くり返し 旅する時に
『愛する人へ 』 加藤登紀子自選詩集 著・加藤登紀子 発行所・株式会社 サンリオ ヨ リ