大圓山と号し、臨済宗大龍寺派に属するこの寺は、布引の砂（いさご） 山、またの名は丸山の裏手の静かな盆地にある。
この地はもと瀧勝寺の境内地であったが、明治三十八年に、川崎造船所の創立者川崎正造が、川崎家の菩提寺としてこの地に建立したのが�ｺ光院である。
この寺の多宝塔は、もと垂水区名谷の明王寺にあったのを、明治三十三年に川崎氏が譲り受け、はじめは自邸内に建てていた。この邸宅は、北野浄水場東側山麓から中央市民病院あたりにかけて広がり、その典雅な風情は人目を引いた。昭和十三年の大水害で壊滅し、この塔も破損したので、�ｺ光院に移したのである。文明五年 (1473) 室町時代の作で、国の重要文化財となっている。多宝塔内に安置する持国天、増長天の二像は平安後期の作とされ、県の重要文化財である。
境内は、もみじ、楠、杉などの古木のうっそうと茂る広大な幽寂境で、本堂 (本尊十一面観音は鎌倉時代の作) 、鐘楼 (寛永八年の作、三木市伽耶院より移築) 、 山門、経蔵、開山堂、鎮守の弁天堂 (弁才天は室町時代の作) が点在する。近年、市によって、その樹林に、境内は市民公園の指定を受けた。