友人に宛てた廣瀬の手紙である。 廣瀬が参戦できなかった黄海海戦は、制海権の確保のための清国北洋艦隊との決戦を狙っていた日本の連合艦隊が、輸送船を護送中の北洋艦隊に遭遇した事で始まる。連合艦隊は旗艦・松島以下十二隻三万六千七百トン。北洋艦隊は清国が誇る大型船艦・定遠、鎮遠以下十二隻三万四千四百トン。ほぼ互角の戦力だったが、巨艦を擁する北洋艦隊は護送中にもかかわらず、正面から海戦を挑んで来た。 午後零時五十分ごろから始まった砲撃戦は約五時間の後、連合艦隊の勝利に終わった。最新鋭艦を揃えた連合艦隊は、その速力と砲数で勝り、経遠、到遠、超勇といった清国艦を撃沈し、二隻を大破した。 それのみならず、清国自慢の定遠、鎮遠のも大損害を与えた。連合艦隊は一隻も失うことがなかった。 |