続 吟 剣 詩 舞 漢 詩 集


 
偶 成
木戸 孝允
一穂の寒燈眼を照らして明かなり

沈思黙坐す限り無きの情

頭を回らせば知己人已に遠し

丈夫畢竟豈名を計らんや

世難多年万骨枯れ

廟堂の風色幾変更

年は流水の如く去って返らず

人は草木に似て春栄を争う

邦家の前路容易ならず

三千余万の蒼生を奈せん

山堂夜半夢結び難く

千岳万峯風雨の声